愛犬が寝たきり生活に。家族が毎日すべきお家での3つのお世話
2023/09/12
犬の寝たきり生活といっても症状や体調、運動可能なレベルはそれぞれで家族はどのようにお世話をしてあげるべきか悩むことも多いでしょう。今回は愛犬が寝たきりになった時、できる限り快適に過ごせるお世話の方法を詳しくお話させていただきます。
必要なお世話のレベルは食事・排泄で見極める
愛犬にどのようなお世話が必要なのか、手順、時間、用品、通院と色々な不安や悩みが浮かびます。寝たきり生活でのお世話は、どの程度の「自立生活」ができるかでまずは見極めてください。
見極め方は
【軽度】
・トイレや食事など、強い目的意識があれば自力で立ち上がることが出来る、立ち上がった姿勢を維持しながら目的を果たすことができる
・介助用ハーネスや車椅子の着用などで家族が補助をすると姿勢を維持、短距離の歩行が可能
・カートなどを使い散歩に連れ出すと、屋外の音や刺激に反応を見せる
【中程度】
・体を動かす、立ち上がることはできないが頭部(首上)だけなら自力で持ち上げることができる
・姿勢維持のベッドやクッションを使うと姿勢を維持できる
・目を覚まし、意識がハッキリしている時間がある
【重度】
・手足、首に力を入れることができない
・自力では飲水や食事の飲み込みができない
・排泄をコントロールできず、常に排泄が続いている
寝たきりの愛犬のお世話に介護用品を購入する時もこの分類を参考にすると使い勝手のいいアイテムを見つけることができます。
1:トイレのお世話・オムツや防水シートは積極的に活用を
寝たきり生活で一番家族が負担に感じるお世話がトイレです。
犬は本来とてもきれい好きな動物で、自分の体はもちろん自分の住処や寝床が排泄物で汚れることを本能的に嫌がります。
お互いのストレスを軽減するために、寝たきり生活になったら犬用オムツの着用をオススメします。中大型犬は防水加工されたシーツやタオルの使用もオススメです。
犬用オムツを選ぶ時は
・性別ごとに形状が異なっているので、間違えずに購入しましょう
・愛犬の腰回りなどサイズを計測しジャストサイズを選びましょう
・2~3時間ごとに交換が必要なため、まとめ買いなどで節約も心掛けましょう
寝たきりになると、以前に比べ体重、筋肉が減少し、意外に腰回りが細くなっています。購入時は体重だけで判断をせずに、実際に愛犬を採寸してください。サイズが合わないオムツは排泄物の横モレや脱げが起こり、かえって不快感が増すので注意しましょう。
オムツの使用の戸惑いを感じる方も多いとは思いますが、オムツがあることで体や寝床が汚れずに済むだけでなく、汚れた体を洗う手間や負担も省くことができます。オムツの着用で体や居場所を衛生的に保つことができるので、オムツの使用は愛犬にとって決して可愛そうなことではないので安心してください。
2:床ずれ防止のお世話・体位変換と低摩擦素材の活用を
寝たきり生活で誰もが経験するのが「床ずれ」と呼ばれる皮膚や組織の摩耗です。いつも同じ姿勢で横たわっていると、骨や関節に体圧がかかり、血流が悪化したり、皮膚が床ずれを起こすことがあります。
健康な犬であれば、適度に寝がえりをうつのでこのような問題は起こりません。
解決方法は
・30分~1時間程度を目途に寝がえりを打たせ、体にかかる負荷を分散する
・低反発、低刺激な素材のベッドやクッションを使用し、体圧分散を図る
・全身をマッサージして、血流を促進する
もし「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれる傷やうっ血、手足の痛み、痙攣など気になる症状がある時はすぐに動物病院へ相談をしてください。
放置すると症状が悪化し、その後の治療が長期化することが多々あります。
3:食事のお世話・症状にあった方法での食事のお手伝いを
寝たきり生活での食事は
・自力で姿勢を保つことができるか
・固形物を飲み込むことができるか
で必要なフード、食器、食事の回数、与え方が変わります。
普段は寝たきりでも、家族が体を支えたり、口元に食器を近づけることで自力で食べることが出来る場合は、ペットの介護用に作られた持ち手つきの食器が便利です。もしくは人間の離乳食用食器もちょうどいいサイズ感で重宝します。
自力で舐め食べることができない場合はシリコンスプーンで口元に運んであげてください。この時も離乳食用製品がピッタリです。
症状が進み、自力では姿勢を保つ、舐める、飲み込むことができない場合は獣医師と相談の上、スポイトやシリンジを使った方法で口内に流し込み食事をさせます。この方法は見様見真似で行うと、誤って誤嚥を起こしてしまう危険があるので必ずかかりつけの獣医師に相談の上、手順、与える量や回数の指導を受けてください。
まとめ
寝たきりの愛犬との暮らしは、トイレ、寝返り、食事の3つがしっかりとできていれば他はさほど不安に感じることはありません。市販の便利なアイテムを積極的に活用し家族も愛犬もストレスを軽減してゆきましょう。
大学在学中にイギリスへドッグトレーニングの勉強のため、短期留学。生体販売・ペットショップ店長・トリマー・トレーナー・新規事業開発・成田空港内ペットホテル開業に伴うプロジェクトリーダー・ペット関連用品の開発など、国内最大手のペット関連企業において経験。独立開業後は、WEBサイト、雑誌などへコラム執筆や企業顧問、商品開発、各種マーケティング業、専門学校講師を勤めています。
ゴールデンレトリバー(サーフ&海)、チワワ、猫と全員元保護犬、猫達とペットライフがもっと楽しく、もっと快適になるよう目指しています。
保有資格:
●愛玩動物飼養管理士
●トリマー
●トレーナー
●アロマセラピスト
●ホリスティックケアカウンセラー
●ペット食育士
●ペット災害危機管理士
●マウスケアメンター
●一般社団法人日本ペット用品工業会認定 ペット用品販売士
●ペットロスケアアドバイザー
●セラピードッグトレーナー
●動物葬祭ディレクター
●ペット共生住宅管理士