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市販のドッグフード、あなたはどう選ぶ?

市販のドッグフード、あなたはどう選ぶ?
獣医師・岩田まりこ

2023/09/12

ドッグフードの原材料

わたしが愛犬に市販フードではなく手作りごはんをあげている大きな理由は、その原材料と作り方にあります。

皆さんは、市販フードの原材料の欄を見たことはあるでしょうか?

ひと昔前に比べ、最近はずいぶんペットフードに使われる原材料も変わってきましたが、雑食寄りの肉食動物と言われる犬はもちろん、肉食の猫も、一番多く含まれているのは穀物(小麦やじゃがいも)、というフードも多いです。

原材料のお肉についていうと、牛(ビーフ)・鶏(チキン)・豚(ポーク)という表示のほかにミートミール、チキンミール、ラムミール、フェザーミール、肉副産物などがあります。

○○ミール、という言葉が何なのか、わかるような、わからないよう言葉なので、調べてみました。

AAFCOが定めるミートミールとは、動物の【血液・毛・ひづめ・角・胃などの内容物・糞などの排せつ物】を取り除いたもので、動物の肉や組織から脂肪分を除いて乾燥させて粉末状にした素材、ということになります。

もとは哺乳類の動物なのですが、豚なのか牛なのか?はたまた羊なのかヤギなのか?何なのかは分かりません。

AAFCO(アーフコ、アフコ)の基準

ちなみに、AAFCO(アーフコ、アフコ)とは、全米飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials)の略称で、ペットフードの栄養基準や原材料、表示に関する基準を公表しているアメリカの団体です。

AAFCOの栄養基準は、タンパク質や脂肪などの成分基準や、それぞれの原材料の名称が何を指すか定義しているだけのものになります。

そのため原材料の品質はAAFCOの基準とは関係がありません。ですから、高品質なドッグフードか否かは、AAFCOの基準を満たしているかどうかを見ても判断ができないのです。

ドッグフードの原材料を深掘り

そのほか、ラムミールとは血液、毛、蹄、角、皮(の切れ端)、糞、反芻胃(内容物を含む)を除いた清潔なラム組織の搾脂品(レンダリングされたもの)と定義されていますし、ニュージーランドでは枝肉を取り除いた後の非食用臓物(胃袋・腸・肺・骨など)とくず肉から脂をぬいたものをミール、としています。

さらに、家禽ミールとは、色んな鳥類の肉や骨を使った乾燥粉末、チキンミールは鶏肉を使った乾燥粉末をいいます。

フェザーミールにいたっては羽根を加工して粉状にしたもので、野生動物も「獲物の羽は残していなかったのでは?」と思うのですが、粉にしてしまえば羽も食べられるのだなと、人間の英知を感じるというか、ここまでくると新発見の気分です。

この言葉が指す内容だけ見ても、なかなか自分が食べるには勇気がいるのですが、お肉の質も色々で、4Dミートと呼ばれる、死にそうな家畜や、病気の家畜のお肉が使われている可能性もあります。

ただ、誤解を恐れずに言うと、こういうお肉は、食べられるか、食べられないかの法律に基づいた検査を受けたうえで、食べられる、と判断されれば、人も食べられるお肉になります。

あまり知られていない「お肉」のこと

牛や豚などの家畜は、お肉になるための肥育牛・肥育豚と、繁殖に使われる牛や豚がいます。

繁殖に使われる牛や豚は子供を産まなくてはいけないので、圧倒的にメスが多いです。

将来お肉になるために肥育に使われるのは去勢手術を受けたオス、そしてメスもいます。

こちらは半々くらいの割合です。

肥育用の牛や豚は、ほぼ健康な状態でお肉になっていきますが、それでも中には病気になったり、発育が悪かったりする子もおり、そんな牛や豚でも一通りの検査を受けて合格すれば、市場に出回ります。

つまり、スーパーで売られて、私たちの口に入るのです。

繁殖用の牛や豚も、歳をとったり病気になったりして、これ以上子供を産めないとなれば、廃用と呼ばれ、食用のお肉にされます。

決められた法律に基づいて検査はされますが、全部が全部健康な牛や豚なわけではない、というのは事実です。

そして、質の良いお肉であればあるほど、お値段が高いのは当たり前で、これはペットフードにも言えることです。

高ければいいというものではないですが、〇〇ミール、とか肉副産物とか、こういう原材料のものは安くペットフードを作るのにもってこいですし、お値段の安いフードは、原材料にその要因があるのは想像がつくかと思います。

1キロ1,000円くらいで販売されているフードを考えてみると、その費用には、原材料費、加工費、パッケージ代、輸送費、人件費などがかかっています。そうなると、原材料費にどれだけお金がかけられているのか?ほとんどお金がかけられないのでは?とも思ってしまいます。

フードの添加物についても知っておきたい

市販フードは食いつきを良くするために、添加物や動物性油脂が加えられているものもあり、原材料の品質以外にも、選ぶときには気を付けたいところです。

「すごく食いつきがいい」、ということは、一見良いことに見えますが、それを販売するメーカーが添加物を加えて「食いつきの良さ」を作り出している、という側面もあります。やはり原材料を見て確認することは大事だと感じています。

市販フードが一概に悪いもの、とは考えていませんが、愛犬には、少しでも体にいいものを選んであげてください。




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獣医師・岩田まりこ (いわた まりこ)

北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業後16年間、動物病院、保健所に勤務。
東洋医学・マッサージ・メディカルアロマを使って、飼い主さん自身が「愛するペットの健康を自分の手で守る」ホームケア講座を主催。1,000頭以上の飼い主さんへ自然療法のアドバイスを実施。

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