車に愛犬を乗せる時、どこに乗せていますか?法律違反にならない安全な乗せ方
2023/07/26
愛犬と一緒に遠出をする場合、移動手段で最も多いのが車ではないでしょうか。自由が利き、他者に気を遣わなければならないシーンも多くはありません。しかし愛犬の安全性を考えた場合、乗せ方にはかなりの注意が必要になります。さらに、乗せ方によっては法律違反になってしまう場合も。愛犬の適切な車への乗せ方について解説します。
車で注意すべき犬の事故は熱中症だけではない!?
動物病院への通院やドッグランなどのちょっとした遠出の他、休暇を利用した泊りがけの旅行やキャンプなど、愛犬と一緒に移動するときに便利なのが自動車です。愛犬と車で移動する際に、愛犬の車酔いや車内への置き去りによる熱中症に気をつけている飼い主さんは多いことでしょう。
しかし、愛犬とのドライブで注意しなければならないのは、車酔いや熱中症だけではありません。開いている窓からの飛び出し事故や、万が一交通事故を起こしてしまった際の愛犬の安全確保もとても大切です。しかも、愛犬の車の乗せ方によっては、法律違反になってしまうことも。
愛犬を、法律違反にならず、万が一の場合の安全性もできるだけ確保した車への乗せ方をご紹介します。
犬を乗せる場所
最も安全な乗せ方は、愛犬を丈夫なハードタイプのクレートに入れ、後部座席の足元に固定する方法です。クレートと座席の間にはクッションを挟んで隙間をなくしましょう。注意事項としては、愛犬の体のサイズにジャストフィットしたクレートを選ぶことです。そしていざというときのために、後部座席に愛犬を制御できる付添人を乗せておくことも大切です。
車のサイズなどによっては、大型犬の場合クレートを乗せるのが難しいかもしれません。その場合は、ハーネスなどを着用させ、シートベルトや後部座席の背もたれに固定しましょう。このときも、前の座席の背もたれとの間にクッションを置いておくといざというときのクッション材になります。もちろんこの場合も、後部座席には付添人を乗せておきましょう。
中小型犬でも、狭くてクレートを嫌がるからという理由で、市販のドライブボックスやドライブシートを利用される飼い主さんもおられると思います。この場合、衝突の衝撃で飛び出して窓ガラスに激突したり、場合によっては外に投げ出されたりするケースもありますので、大型犬と同じようにハーネスを装着し、しっかりと固定しておくことが大切です。
犬に優しい「ドッグフレンドリーカー」は、犬の乗り心地や快適性を追求した車です。特別安全性が高いわけではありませんので、乗せ方や注意事項は普通の車と同じです。
なお、愛犬をクレートに入れてラゲッジスペースに乗せるケースもあると思いますが、車の構造上後ろからの追突で強いダメージを受けるため、最後尾に近い場所は避けましょう。
付添人が確保できないため、やむを得ず愛犬を助手席に乗せる場合もあると思います。その場合、たとえ固定していても、犬の体が万が一のときに膨らんだエアバッグの衝撃に耐えきれず、重症を負うこともあると知っておきましょう。
乗せ方によっては法律違反になることも
2012年に、山口県でトイプードルを膝の上に乗せて車を運転していた男性が逮捕されたという事例があります。「運転手が運転の邪魔になるようなもの(この場合はトイプードル)を同乗させていた」ことが道路交通法第55条第2項に違反したとみなされたためです。
第五十五条(乗車又は積載の方法)
”2 車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。”
また、第70条にも安全運転義務の規定があります。愛犬を助手席に乗せて頭を撫でながら運転していた場合は、例えハーネスでシートベルトに固定していた場合でも、法律違反になる可能性がありますので、注意が必要です。
第七十条(安全運転の義務)
“車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。”
何より愛犬の安全を最優先に!
「うちの子はおとなしいから」、「うちの子は車に慣れているから」、「車の運転には自信があるから」などの理由で、愛犬を自由な状態で膝の上に乗せたり、窓から身を乗り出させたまま走行したり、付添人を乗せずに愛犬と運転手のみで乗車したりということはないでしょうか。
どんなにおとなしい犬でも、何をきっかけにパニックに陥るか分かりません。また、どんなに運転技術に優れていても、他の車がぶつかってくるということもあるでしょう。事故に至らない場合でも、道路交通法違反とみなされることも十分にありえます。何よりも、いざという場合の愛犬の安全性を最優先に考えた車の乗せ方を習慣付けましょう。
子どもの頃から動物が好きで、特に高校時代にはコンラート・ローレンツ博士の著作にはまり、動物行動学に興味を持つ。大学では畜産を専攻し、乳牛の世話や豚の種付けから出産、子豚の飼育までといった貴重な経験をする。
一旦就職し保護猫3匹と共に暮らしていたが、最後の子が慢性腎不全に加えて脳腫瘍を発症したのを機に、看病に専念しようと退職し、看病の傍ら伴侶動物に関する資格を取得。現在は、動物関係を中心としたWEBライターとして活動。
<所有資格>
・小動物看護士
・小動物介護士
・ペット飼育管理士
・ドッグシッター
・キャットケアスペシャリスト
・キャットシッター